2024年10月10日
1. はじめに
2022年にアメリカで成立したインフレ抑制法(IRA)で導入された低所得地域ボーナスクレジットプログラムは、低所得地域での再生可能エネルギー投資に対して大きなインセンティブを提供しています。
2023年10月16日に施行された最終的なIRSの規則によって、プログラムの運用方法や適格基準、申請手続きに関しての詳細が明確になりました。今回は、このプログラムおよび新しい規則に関して押さえておきたいポイントをお伝えします。
2. 低所得地域ボーナスクレジットプログラムの概要
このプログラムは、低所得地域やIndian居住地におけるソーラーまたは風力発電施設への投資に対し、エネルギー投資税額控除を追加で受けられるものです。また、手頃な価格の住宅開発プロジェクトの一環としても利用され、経済的に恵まれない地域のニーズに応えながら、再生可能エネルギーの普及を推進します。
3. クレジットの増額: どう適用されるか
10%のボーナス: 低所得地域またはIndian居住地に設置されている施設に適用。
20%のボーナス: 低所得者向け住宅プロジェクトに関連する施設、または低所得世帯に直接経済的利益をもたらす施設に適用されます。
このクレジットは、納税者が受けられるエネルギー投資クレジットに上乗せされ、施設が運用開始された年度のクレジット額に反映されます。
4. 適格基準と主な定義
最終規則では、ソーラーまたは風力施設の適格基準を以下のように定めています。
ソーラーまたは風力エネルギーのみを使用して発電すること
最大出力が5メガワット(MW)未満であること
また、大規模プロジェクトを分割して5MWの制限を回避する行為を防ぐための基準も設定されています。
プログラムには、次の4つのプロジェクトカテゴリがあります:
カテゴリー1: 低所得地域に設置された施設
カテゴリー2: Indian居住地に設置された施設
カテゴリー3: 低所得者向け住宅プロジェクトに関連する施設
カテゴリー4: 低所得者に経済的利益をもたらすプロジェクトに関連する施設
5. 最終規則の主なポイント
IRSの最終規則は、低所得地域ボーナスクレジットプログラムの適用に関して、いくつかの明確な定義と要件を導入しています。
申請手続き: 申請者は、Revenue Procedure 2023-27に従い、プロジェクトがプログラムの目標をどのように達成しているか、また容量制限を満たしているかを証明する必要があります。
エネルギー貯蔵: エネルギー貯蔵技術は、ソーラーまたは風力施設と連携して設置され、接続された再生可能エネルギー施設から少なくとも50%の電力で充電されるという条件を満たすことで、適格と認められます。
利益の公平な分配: カテゴリー3および4の施設では、少なくともエネルギーの純節約量の50%を建物の居住者と共有する必要があります。
所在地と単一プロジェクトの定義: 施設が「低所得地域に所在している」とみなされるには、施設の50%以上が該当地域にある必要があり、大規模プロジェクトを小規模に分割する行為を防ぐルールもあります。
利益共有報告書: 施設所有者は、住民に対してどのように経済的な利益が還元されるかを説明した利益共有報告書を準備する義務があります。
6. 実施と今後のステップ
最終規則によって、開発者や投資家、その他の関係者は、低所得地域ボーナスクレジットの申請や適用方法について、より明確なガイダンスを得ることができるようになりました。このプログラムは、地域社会に直接的な利益をもたらす再生可能エネルギー投資を促進するものであり、特に不利な地域におけるエネルギー成長の大きなチャンスを提供します。これらの規則が適用されることで、適格な納税者は申請手続きをスムーズに進め、太陽光や風力エネルギーへの投資のメリットを最大限に活用できるようになります。ご不明な点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
Comments