2023年4月14日
ほとんどの仕事は、お客様や上司などに案件を依頼される所から始まります。お互いの認識が共通していれば問題なくゴールに向かって進むことが出来るのですが、そうでない場合も発生します。私も、特に若い頃は認識が行き違うことがありました。案件に対する認識のずれは、依頼者と作業者の双方にストレスがかかりますし、時間や費用のロスにもつながります。それでは、そのような誤認識を減らすためにはどのようなことをすればよいのか、それをBeer Bashでスタッフと話し合い、まとめてみました。
要点のまとめ方と手順
案件を相談に来られるお客様が、常に話をまとめて持って来られるとは限りません。逆に相談しながら段々と頭の中を整理したいと思われている方も多いようです。そのような場合、ただ漠然とお話を聞いているだけでは案件の要点がどこにあるのか分からなくなってしまいます。そこで、例えば下記の内容を具体化することで、お互いの認識を合わせることが出来るようになると思います。
1. 「なぜ」その案件を解決したいのかを定義する
私たちは、「なぜ」というそもそも論、目的を明確にすることを一番大事にします。案件の目的がどこにあるのかを具体的に定義できなければ、何をやれば良いのかの方向性を見誤ってしまうからです。サービスや製品を提供することによって、お客様が解決したいことは何なのか、それを明確に定義する所から始めます。
2. 「何を」やりたいのかを定義する
「なぜ」が分かれば、今度は「何を」やりたいのか、やって欲しい内容が見えてきます。例えば弊社では、サービス業として請け負う内容を下記のように書き出すことにしています。
提供するサービスの概要
時間、費用の予算
最終的に提出される資料の概要
3. 誰をアサインする(配員する)のかを明確にする
難易度の高い案件であれば経験値の高いスタッフが必要でしょうし、簡単な案件であれば、ジュニアスタッフでも十分対応出来るかも知れません。お客様の予算との兼ね合いも考慮して、誰をどの案件にアサインするかを明確にします。
4. 時間軸を明確にする
必要とされる作業と人員が定義されれば、必要な時間が予測できるようになります。最終締切日の設定だけでなく、各マイルストーン(達成目標)の日付と、そこで提出される成果物を明確にしておけば、各段階でお客様に安心感を与えることが出来ます。また、作業をするスタッフにとっても、小さなマイルストーンを設けておくことで、少しずつ作業が完成に向かっている実感があり、モチベーションの維持にもつながります。
5. 出来ること、出来ないことを明確にし、適切に伝える
お客様の予算や時間軸などで、現実的に実行可能な作業はどれなのかを明確にする必要があります。特に作業者側にとっては、仕事を請け負うためにすべて「出来ます!」と言いたくなるところですが、お客様の予想を下回る成果物を提供することは可能な限り避けなければなりません。もちろん、今自分の能力で出来ることだけを請け負っていたのでは成長につながりませんから、長期にわたるプロジェクトほど、「将来出来るようになる能力」を見越して仕事を請け負う視点も必要です。自分の現在の能力と、これからの努力によって実現可能な見通しを客観的に把握し、適切に依頼者に伝える必要があります。
いかがでしたでしょうか。案件の要点をまとめる際には、まずなぜなぜをして目的を明確にし、何をやりたいのかを定義して手段を明確にし、遂行可能な人員配置をし、時間軸を明確にする、と順を追って考えていきます。
次号では、案件の要件をまとめた後、社員がそれを仕事としてどう意識していくのか、どうお客様に報告していくのか、アフターケアに至る部分まで、順にご説明していきたいと思います。今月号も、「経営者の視点から」をお読み頂きどうもありがとうございました。
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