2025年2月18日

「超過事業損失」とは、ある年の事業における総控除額が、その年の事業による総所得または利益を上回る部分を指します。この超過額には、インフレ調整された一定のしきい値額が適用されます。2025年の超過事業損失の制限額は、単独申告者で$313,000、夫婦合算申告者で$626,000となっています。なお、2017年12月31日以降に開始する課税年度については、従業員としての給与所得に関連する控除額や所得・利益を考慮せずに計算されます。
事業所得には、農業所得、個人事業主としての事業所得、農地賃貸収入、不動産賃貸事業の収益などが含まれます。また、Form 4797 やForm 8949 に記載される事業の利益・損失も超過事業損失の計算対象となります。さらに、パススルー事業に由来する所得・損失や、災害・病害・干ばつによる農業損失も含まれます。
超過事業損失のルールを適用する前に、非法人事業者は「リスク負担ルール」および「受動的活動損失ルール」に従う必要があります。超過事業損失として認識された金額は、個人所得税の計算において加算調整されるため、結果として申告書の他の箇所で計上される事業損失の額が減少することになります。
超過事業損失の適用期間
CARES法により、パススルー事業の株主・パートナー、および個人事業主に対する超過事業損失の制限は、2020年12月31日以降、2026年1月1日より前に開始する課税年度に適用されます。さらに、2022年のインフレ抑制法により、この適用期限は2029年1月1日まで延長されました。
純営業損失(NOL)の繰越しおよび取り扱い
超過事業損失の制限額を超えた部分は控除の対象外となります。そのため、非法人事業者は、この控除できなかった超過事業損失を翌課税年度以降の純営業損失(NOL)として繰り越す必要があります。なお、パートナーシップ、S法人、信託については、株主レベルで超過事業損失ルールが適用されます。また、NOLの利用については、追加の制限が課される場合があります。
2020年以降に発生したNOLには繰越し期間の制限がありません。しかし、2017年以降に発生したNOLは、課税所得の80%までしか相殺することができません(生命保険会社以外の保険会社にはこの80%制限は適用されません)。原則として、NOLの繰戻しは認められていませんが、農業損失および生命保険会社以外の保険会社の損失については、2年間の繰戻しが可能です。
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