米国居住者は一般的に米国市民と同様、米国で全世界所得が課税されます。もし米国以外の受入国が、米国市民や米国居住者の米国外所得にも課税した場合、二重課税が発生する可能性があります。この状況を回避するため、外国勤労所得一定額の非課税化、住居手当の非課税化、住居費控除などが認められています。
適用条件
ただし、以上の税制上の優遇措置を受けるためには、納税者は以下の要件を満たす必要があります。外国にタックス・ホームがあること(税法上の居住国)
• 外国にタックス・ホームがあること
• 外国勤労所得があり、かつ
• ボナファイド居住テストまたはフィジカル・プレゼンス・テストのいずれかを満たす米国市民、又は米国居住者であること
タックス・ホーム:タックス・ホームとは、一般的に納税者の事業を行う場所、もしくは勤務地をいいます。主たるビジネスの場所がない場合、納税者の家族や、経済活動、人との繋がりといった要素に基づき決定されます。
外国:米国以外の政府が主権を持つすべての領域が含まれています。ただし、南極大陸またはプエルトリコ、グアム、北マリアナ諸島連邦、米領バージン諸島、米領サモアなどの米国領土は含まれていません。
COVID-19対応のため異例措置: IRSはCOVID-19の緊急事態に対応するため、個人や企業に救済措置を提供していますその措置により、COVID-19による緊急事態出国が困難となったために米国に滞在した日数は、米国の税務上の居住ステータスを判断する上で、および米国での役務の提供により生じた収入に対し、租税条約の恩恵を受けるかどうかの判断は含まれません。
ボナファイド居住テスト(Bona Fide Resident Test)
Bona fideとはラテン語を発生とした「誠実な、嘘偽りない」といった意味ですが、具体的には納税者が正真正銘の(ボナファイド)居住者として、課税年度一年間(1月1日から12月31日まで)に継続して米国以外に居住していることが条件になります。同期間中に米国や他国への一時的な海外旅行や出張は認められていますが、ボナファイド居住者としてのステータスを維持するには、旅行先から元の居住地に戻る(説明不可能な遅れがないこと)、もしくは他国のボナファイド居住者になるという意向を明確する必要があります。
以上のように、ボナファイド居住者のステータスは諸所の状況に基づき決定されます。その他の判断材料は以下の通りです。
• 納税者の意向
• 外国で住居を持つこと
• 外国にあるコミュニティで社会的や文化的活動に参加すること
• 雇用の性質と期間
• 外国の家から一時的に不在になる理由
フィジカル・プレゼンス・テスト(Physical Presence Test)
納税者は連続する任意の12ヶ月間において、物理的に米国外に330日以上滞在していることが条件になります。この期間の開始日はいつでも構わないこと、1日とは深夜0時から始まる連続の24時間であることが決められています。また、滞在理由は内容が問われず、旅行や出張、或いはそのコンビネーションでも構いません。
ただし、以下の場合は例外となり、外国で過ごした日数としてはカウントされませんのでご留意ください。
• 米国への往復旅行中に公海上や乗り継ぎに費やした日数
• 病気から回復するため
• 家族の緊急事態のため
• 戦争または内乱のため
• 上司からの命令のため
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