2023年1月13日
医療貯蓄口座(HSA)とは、口座の所有者、その配偶者、および扶養家族の為に、適格医療費の支払い・積み立てた金額に対して税制上の優遇措置を提供するものです。HSA口座への拠出は所得から控除され、口座からの払い出しは、適格医療費に使用される場合は総所得に含まれません。HSAは、雇用主のカフェテリアプランを通じて従業員が設立することも、雇用関係のない個人で設立することも可能です。
利用資格と定義
以下の場合、どの月でも個人はHSAを開設する資格があります。 (1) その月の初日に高免責額医療保険(HDHP)に加入している (2) 他の医療保険に加入していない、またはメディケアに登録していない (3) 他の納税者の確定申告書に扶養家族として申告されていない等
2022年では、HDHPとは、(1)年間控除額が本人加入の場合は$1,400以上、家族加入の場合は$2,800以上、(2)年間自己負担限度額が自己負担の場合は$7,050、家族負担の場合は$14,100のプランのことを指します。
拠出と報告
HSAへの現金拠出は、対象となる個人、個人の雇用主、または対象となる個人に代わって他の人が行うことができます。個人が雇用関係以外で拠出した金額は、調整後総所得(AGI)を計算する際の控除項目として控除されます。また従業員のHSAへの雇用主の拠出は、従業員の総所得から除外することができます。2022年の拠出限度額は、個人では$3,650、家族/世帯では$7,300です。
2022年と2023年の課税年度における最大拠出額は以下の通りです。
(最大拠出額は毎年インフレ調整されます。)
この年間拠出限度額は、対象となる個人の全てのHAS口座を合算して適用され、その口座に誰か(例:雇用主)が拠出された場合も全て適用されます。
但し、当該課税年度末に55歳をになっている場合は、拠出限度額が1,000ドル増額され、また、65歳に達した後やメディケアに登録された後の拠出できません。
個人は、HSAへのすべての拠出と払い出しをフォーム8889で報告しなければなりません。また、HSAを設立した個人は、HSAの払い出しが適格医療費にのみ使用されているかどうかを判断し、その使用を立証するための適切な記録を維持する責任があります。
過剰拠出
その年のHSAへの拠出額が先に述べた最大拠出額を超えた場合、拠出超過となり、この過剰な拠出は所得から控除されません。また雇用主が行った過剰拠出は、個人の総収入に含まれ、拠出超過額がフォームW-2のボックス1に含まれていない場合、その超過分を「その他の所得」として確定申告する必要があります。
また、個人は拠出超過額に対して6%の超過税額を支払わなければなりません。超過税額はForm 5329, Additional Taxes on Qualified Plans (Including IRAs) and Other Tax-Favored Accounts, を使って算出します。この超過課税は、拠出超過額が口座に残っている場合、それぞれの課税年度において適用されます。
但し、次の条件を満たす場合、個人は超過拠出金の一部または全部を引き出し、引き出し額に対する課税の支払いを回避することができます。
過剰な拠出金が、その拠出が行われた年の確定申告の期限(延長を含む)までに引き出される
引き出された拠出金による所得は、拠出および引き出された年の確定申告書において「その他の所得」に含めて申告がされている
HSAからの分配(払い出し)
口座の所有者のためのHSAからの分配金は、適格な医療費に使用することができます。適格医療費とは、病気の診断、治療、緩和、処置、予防のために、(保険やその他の方法で支払われない範囲でのみ)発生する費用に加えて、治療のために必要な、交通費、医薬品、適格長期医療費などを指します。非処方薬は、制限付きで適格医療費とみなされます。
分配の時期に制限はなく、口座所有者は分配を延期して後年適格医療費に充当することができます。ただし、HSAから分配された金額が口座の所有者(またはその配偶者や扶養家族)の適格医療費に使用されない場合は、口座の所有者の総所得に含めなければならず、また20%の罰則金を支払う可能性があります。
HSA口座所有者の死亡
HSAは口座を設定する際に、受益者を選択する必要があります。個人が死亡したときにそのHSAに何が起こるかは、指定された受益者によります。
個人の配偶者がHSAの指定受益者である場合、個人の死後は配偶者のHSAとして扱われます。
配偶者がHSAの指定受益者でない場合は、その口座はHSAでなくなり、またHSAの公正市場価値は、個人が死亡した年に受益者に課税されるようになります。
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