2022年12月9日
経営をしている中で、最大の課題の一つが社員にやりがいを持って働いてもらうことだと思います。実は若い頃は部下のやる気を引き出すのは簡単なことだと思っていました。自分が新米スタッフだった時にやって欲しいと思っていたことを部下にやってあげれば、自然とみんなにやる気が出て活気が出るものだ、と思っていたのです。ところが、30代後半にもなると、自分がやって欲しいと思っていたことと、他人がやって欲しいと思っていることにだいぶ乖離があることに気づきました。良い、悪いという価値基準では無く、「違う」のです。
そのような中、"Motivate Your Staff"というお題でBeer Bashをやってください、というリクエストがスタッフからあり、先日Beer Bashを開催しました。Beer Bashの良い所は、私が教えるのではなく、各自が自ら考え、思い思いに心の内を話すことが出来る、ということです。今回、何が彼らをやる気にさせるのか、教えてくれた内容を大きく三つにまとめてみました。
成長への欲求
成長したい、という思いはほとんどの人が持っているかと思います。しかし、成長している、という実感が無ければやる気を持続させるのは難しいものです。成長を実感する瞬間がどのようなものなのか、或いはどのような環境の下で成長することが望ましいのか、社員たちが教えてくれました。
o ゴール設定を明確にし、働きやすい環境を作る
弊社では、各プロジェクトをPhase 1 からPhase 5の5段階に分け、Phase 1でプロジェクトの計画と完了までの道のりを話し、Phase 5でプロジェクトの総括を行います。この流れの中に、プロジェクト毎のゴール設定と成果を明確にする仕組みがあります。同時に、人事評価は半年や一年に一回では無く、毎月行うこととしています。人事評価のサイクルを短期化することで、反省点をタイムリーに上司と話し合い、スピーディーに改善につなげる仕組みを作っています。逆に、弊社の反省点としては、経営数値の目標設定に不明確な点があり、各マネージャー・シニアの目標がつかみづらい所があります。今後、その点について改善を進めなければと感じています。
o 少し難しい課題を任せることで、挑戦意欲を掻き立てる
常に今の実力以上に能力を高めていくことが、自らの成長と、サービスを提供するお客様の成長、引いては会社全体の成長を促すことにつながります。昨日出来たことよりも少しだけ難しい課題を与えることによって、挑戦するマインドセットの維持を目指します。また、例え同じ作業であったとしても、常に改善の余地は残っているはずです。それが何かを示してあげるのも、上司の仕事と言えるのかも知れません。
o スタッフが間違いを犯した際に、責めずにどうすればそこから学べるかを教える
まず大前提として、「仕事は完璧であるべき」です。間違って良い、という姿勢からは、甘えしか生まれません。しかし、何か新しいことに挑戦する時は、上司はスタッフの仕事に間違いが発生する可能性があることを認識し、レビューの精度を高め、間違いがあった場合はそこからどう学び、どうすれば間違いを防ぐことが出来るのか、スタッフの成長を念頭に一緒に考える姿勢が重要なのだと思います。
o 上司が率先垂範でロールモデルとなる
仕事が出来る上司、或いは仕事は上手で無くても、誠実で努力を続ける上司は部下のみならず、周りの人たちから見ていて気持ちが良いものです。部下に言う前に自分が率先垂範出来ているのか、自分自身の姿勢を問う必要があります。
報酬・承認への欲求
o 成長と報酬をつなげる
どれだけ部下が成長出来る環境を作った所で、成長と報酬とが結びつかなければ社員のやる気は失われてしまいます。弊社の利益追求の目的は、社員の実績に合わせて十分な報酬を支払うことが出来るようにするためです。社員を納得のいく形で評価し、適正な報酬を支払うことが出来ることが、会社の基盤の強さを現すことになるかと思います。
o 社員の仕事に感謝する
素晴らしい仕事をしてくれた社員に感謝するのは簡単なことです。しかし、中には地味な仕事を黙々とこなしている社員たちもいます。そのような地味な役回りの社員の仕事に気づき、感謝をする気持ちを持つことが、上司に求められる姿勢なのだと思います。
o モチベーションを下げる要因を取り除く
モチベーションを「上げる」きっかけは幾つもありますし、必ずしも皆が同じ理由でモチベーションを維持しているとは限りません。全てのモチベーションを上げるきっかけを各スタッフ毎に満たしてあげることは不可能に近いことです。しかし、もしモチベーションを下げる要因があれば、それを軽減するための措置を取ることは、モチベーションを上げるよりは現実的なことであり、上司のみならず、会社全体にとっても大切なことだと思います。
今回は、どのような企業環境が望ましいと思うのか、Beer Bashでスタッフから提案されたことに基づいてまとめてみました。皆様の参考になればと思います。
まだまだ、会社としてのみならず、私自身が上司として至らない所も多いなあ、と反省する部分が多々ありました。来月は、私が信じていることを経営者の視点から書いてみたいと思います。
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