なぜなぜ

2022年10月14日

よく仕事を行う上で大事なことは、問題の本質を深く考え理解する事と言います。それに疑問を抱く人を見ないくらい、大事なことなのですが、深掘りをして考えることが出来る人と言うのは意外に少ないものです。トヨタでは「なぜなぜ5回」というほど、なぜなぜを繰り返すべきだと説いていますが、今回深掘りをする時に大事だと思う要素を私たちなりに「なぜなぜ」をして、下にまとめてみました。


  • 目的と手段を明確にする

  • 目的と手段の違いを明確にすることは、物事を考える際に「最低限必要なスキル」だと思います。例えば「製品Aを100個売りなさい」と上司から指示が来たとします。多くの人は、「製品Aを100個売る」ことを目的だと考え、何とか製品Aを100個売ろうとするでしょう。

  • しかし、「なぜなぜ」が出来る人は、製品Aを100個売るのは、「利益を出すため」なのか、「倉庫の空きスペースを確保するため」なのか、はたまた「後継モデルが近々発表されるので、在庫を処分するため」なのかを理解しようとします。利益を出すためであれば、必ずしも製品Aで無く、似たような利幅の製品Bを売れば良いかも知れません。倉庫の空きスペースを確保するためであれば、似たようなサイズの製品Cを売れば良いかも知れません。後継モデルが発表されるのであれば、大きな値引きをしてでも製品Aを処分するべきと考えるかも知れません。そのように、「製品Aを100個売る」ことが、目的なのか手段なのかを明確に理解することで、取るべき手段と選択の幅が変わってきます。これが目的と手段を明確にする意義です。

  • 謙虚な姿勢を持つ

  • 例えば、ノーベル賞を取ったような権威ある人の話であれば、誰でも真剣に話を聞きます。しかし、まったく同じ話をあなたの部下がしたとして、同じ姿勢で話を聞くでしょうか。本質的に同じ話であれば同じ姿勢で聞く、まずはその心構えが重要です。

  • 同時に、「私は分かっている」と思い込んでいないでしょうか?多くの場合、問題を表面的には理解していても、その本質的な原因を理解していることは少ないものです。「自分は本当に理解しているのか?」と疑い、色々な角度から考えてみることは、理解の深さを増すために大事なことです。

  • 頭と心の違いを理解する

  • 人は、褒められる時は嬉しいもので、気持ちよく話を聞く事が出来ます。ところが、諫言を受ける時、特にそれが自分の部下や年下の者である時などには、自然と反発する心が生まれるものです。「それは違う」と反発したくなる心を抑えて、本当に「正しいことか」「大事なことか」など、大きな価値基準に照らし合わせ、論理的に頭で考える必要があります。その上で「確かに正しい」と理解するならば、相手の立場や役職に関わらず、素直に意見を受け入れることが大事です。私はそのような時、反発、怒り、恥と言った負の感情をある程度頭から切り離して、物事を客観的に判断するように努めています。

  • 逆に、人に話をする時は、論理的に且つ心を込めて話します。論理的に正しければ良いという訳ではありません。話が論理的でありつつ、相手の心に届くように、相手の立場や役職も考慮しながら、時には情熱的に、時には冷静に心を込めて話すことです。心が伝わることは、時に論理的に正しいことよりも重要な局面が多々あるからです。

  • 質と量の違いを理解する

  • 例えば、社員が仕事でストレスを抱えていると相談されたとします。その社員が週に70時間超を連続で働いているとすると、量的なストレスが原因である可能性が高いと思われます。その時は、割り当てられている仕事を減らすなど、量的な対策を取る必要があるでしょう。

  • 逆に、タイムシートを見ても週に40時間台の勤務時間であったとします。すると、それは量的な問題よりも、例えば作業の難易度が高いため、完成できずにストレスが掛かっているなど、質的な問題が発生している可能性が高いと思われます。その時は、上司や当該技術を持つ者がサポートに回るなど、質的なサポートをする必要があるでしょう。

  • そのように、同じ問題でもそれが質から生じる問題なのか、量から生じる問題なのかで取るべき対策が変わって来ます。それを見極めるために「なぜなぜ」をする必要がある訳です。

  • 出来ていること、出来ていないことを明確にする

  • 問題がシンプルであれば、その問題を解決出来るのか出来ないのか、ある程度瞬時に判断することが出来るかと思います。

  • ところが、複雑な問題の場合、その周りに多くの問題が同時に存在しています。例えば、「世界に先駆けて製品Aを製造したい」と思ったとします。その場合、

  • 技術が不足しているのか

  • 資金が不足しているのか

  • 資源調達が難しいのか

  • 人材が不足しているのか

  など、製品がなぜ製造できないのか、その理由を理解しやすい単位にまで分解する必要がありま

  す。その上で、どこが出来ていて、どこが出来ていない(・不足している)のかを分析し、出来な

  い理由をピンポイントで明確にするのです。

  • 問題が明確になった後は、それが「将来的に実現可能なレベルに出来るのか」を考えることです。よく、「未来進行形でものごとを考える」と言います。現在出来ないからと言って悲観的になるのではなく、努力によって可能にすることが出来るのであれば、その努力をすれば良いだけなのです。

  • コスト・ベネフィットを明確にする

  • 目的と手段が明確になれば、必要なコストもまた明確になります。目的成就のために必要なコストがベネフィットよりも大きければ、そもそも計画を実行すべきでは無いかも知れません。企業が有する限られた資源を有効に活用するために、計画実行の前に、必ずコスト・ベネフィットを明確にしておくべきです。


以上が弊社が「なぜなぜ」をする時に必要だと思う、指針となる考え方です。よく頭が良い人、悪い人という言い方をしますが、そもそも「なぜなぜ」自体は、能力では無く、「考える習慣」なのです。「なぜなぜ」でつまずいてしまう人は、考える技術を身につけ、習慣化することでより深く物事を理解することが出来るということを知らないだけなのです。自分は能力が低いから、と諦めるのではなく、正しい習慣を身につけるために努力をする。その重要性を社員たちに理解してもらうために、弊社は「なぜなぜ」を経営哲学の座標軸に据えています。ひょっとしたらこの考え方が私のコラムを読んでくださる皆様のヒントになることもあるかも知れない、と思い今回書き起こさせて頂いた次第です。


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