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仮想通貨に関する税務上の取り扱いの基礎知識


仮想通貨はここ数年投資対象に留まらず、決済手段としても普及しだしており、2月に入って米大手電機自動車メーカーも決済にビットコインを近い将来受け付ける見通しを発表しました。米国の納税者も2019年の申告書から仮想通貨取引の有無を明確に示すことを求められています。今回はそんな仮想通貨に関する税務面へ影響について基礎知識をご紹介します。

IRSは、仮想通貨を「価値の尺度となり、価値を貯蔵し、かつ決済を可能にする電子的な表現」として捉えています。納税者がビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨、デジタル通貨、または暗号通貨に投資する場合、税務上の取り扱いが複雑になりますので、これらの暗号資産を購入、所有、または交換する場合は、税務面への影響を理解し、正確で漏れのない記録を維持することが非常に重要です。


1、個人所得の場合

連邦税法上、IRSは暗号通貨を暗号資産の一種とみなし、通貨ではなく資産としての課税関係を適用させています。従って、納税者が仮想通貨を使用して商品やサービスを購入したり、仮想通貨をドルや円などの法定通貨に交換したりする際に発生する所得を課税対象と捉えます。

その所得金額の算出には、仮想通貨の譲渡原価を決定する必要があります。仮想通貨を購入した場合、原価はその通貨の購入に要した金額になり、納税者が商品またはサービスの対価として通貨を受け取った場合、原価は受領日の通貨と米ドルの交換レートで決まります。通貨が相続または贈答品として使用される場合も、同じルールが適用されます。

保有する暗号資産を売却した際、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価に差額があれば、納税者は利益または損失を被ります。譲渡価額が譲渡原価を超える場合、課税対象となる利益を得ることができ、それより少ない場合、損失を被ります。その際の利益および損失の種類は、納税者が通貨を取得した理由と保有期間に基づいて決定されます。納税者が投資資産として通貨を保有している場合、キャピタルゲインまたはキャピタルロスが認識され、投資資産でない場合、通常所得と見做されます。


2、事業所得の場合

雇用主が仮想通貨を使用して従業員に賃金を支払う場合、雇用主はその従業員のフォームW-2 (アメリカの源泉徴収票)に賃金を報告する必要があります。つまり現金での給与の支払いと同じ扱いになるため、その賃金からは所得税、給与税が源泉されなければならない点もご留意ください。

また、納税者がいわゆる「マイニング」(採掘)により暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産のマイニング時点の市場価値に相当する米ドル収入を受け取ったと見なされ、課税対象となります。加えて、個人納税者がマイニングを自営業の一環として行っている場合、その所得に対して自営業税(Self-Employment Tax)が課税されます。計算方法は他の事業所得同様、取得した暗号資産の取得時点の時価を総収入金額とし、そこからマイニングに要した減価償却費、光熱費、および人件費等の必要経費を差し引き、ネットの金額を算出します。そのネットの額に自営業税が課税される仕組みです。

仮想通貨で給与を受け取るにせよ、マイニングを事業として行うにせよ、総収入と必要経費の全ての記録を保持することが適正な所得税、自営業税の報告に不可欠となります。

更に、納税者が仮想通貨を使用して米国の受け取り人に家賃、給与、賃金などの支払いを行う際は、納税者は受取人の納税者番号を入手し、情報開示のフォーム(1099-Miscや1099-NECなど)を提出する必要があります。その他、請負業者への支払いを仮想通貨で行った場合も同様の情報開示のフォームの提出が必要です。また支払い前に受取人の納税者番号が入手できないときは、支払いから一律24%を源泉することが求められている点は支払い手段が現金であっても、仮想通貨であっても、変わりはありません。


3、保管期間

保管期間は記録の種類や条件にも異なりますが、申告書を提出した日から最低でも3年は、申告書および申告書を作成するのに必要であった書類を保管してください。下記は種類、条件を異にした場合の連邦税務の際の保管期間の目安です。カリフォルニア州の場合、所得税の時効は4年ですので、下記のガイドラインに一年を足したものを目安とされてください。

1. 税務申告書と申告書作成に必要であった書類(下記4番から6番が該当しない場合):3年

2. 申告書を提出した後にクレジットまたは還付金の請求を提出した場合:最初の申告書を提出した日から3年間、または税金を支払った日から2年間のいずれか遅い方

3. 価値を失った有価証券や債券の放棄から生じる損失を計上した申告:7年

4. 総所得の25%を超える収入の申告漏れがあった場合:6年

5. 無申告の場合:無期限

6. 不正な申告をした場合:無期限

7. 給与税:4年

8. 不動産や株式の購入の記録:年数に関わらず売却または破棄されるまで


4、保存方法

ハードコピーの保管に限らず、電子データによる記録の保管は、IRSからも認められており、適正な機能や、品質、制御に関するガイドラインが発行されています。

電子データにより記録が保管されていれば、納税者は原本を破棄することができますが、万が一の罰則を回避するために、元の帳簿と記録を保持することをお勧めします。


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