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経営者の視点から ~Wow!Your Client「お客様が感動するほどのサービスを提供する」~

2024年3月15日



Wow! your client「お客様が感動するほどのサービスを提供する」というのは様々な業種、様々な会社で話されることだと思います。しかし、それが大事であるというのは重々承知の上ながら、大変お恥ずかしいことに、今の所弊社はそのレベルに達していないのが現状です。お客様を感動させるってどういうことだろうなと思いを巡らせたとき、ふと浮かんできた昔の出来事を振り返えってみようと思います。


私は福岡県の田舎の方で生まれ育ちました。電車と言えば国鉄と西鉄が二本平行に走るだけで、大体どこに行くにも自転車でした。小学生のうちから熊本の祖父母の家に自転車で行っていたので、中高生にもなると、九州のあちこちに自転車で出かけるようになりました。自転車で出かけるとは言っても、貧乏学生ですから、基本は野宿で、学校や神社の軒下、バス停のベンチなどに寝袋一つで泊まりながら、各地を転々とする放浪の旅をしていました。


ある時、大分の山の中に入りました。日本全国似たようなものだと思いますが、九州も山が多く、山あいに入ると、進むも山、戻るも山となり、日も暮れたのでそこの村落で野宿することにしました。季節は秋だったのですが、山の中は寒く、おそらく零度近くにまで冷え込み、身を刺すような冷たい風も吹いて来たので、バス停のベンチの上に寝袋一つで野宿するのは厳しいだろうと思いました。辺りをうろうろしていると、ちょうど公衆電話ボックスがあるのが見えたので、下の隙間を段ボールで塞いでそこで野宿をすることにしました。最初のうちは外より寒さがしのげるので、寒いながらも我慢していたのですが、段々と凍えてきたので、辺りをまたウロウロして、どうやってこの寒さを凌いで一晩を明かすかを考えていました。すると、ほとんど民家のない中に一軒だけ、カレー屋さんが開いているのが見えました。中に入ると暖房が効いていて、生き返るような暖かさでした。とりあえず、カレー一杯とお水を頼み、出来るだけ長く居れるよう、ちびちびと食べていました。ゆっくり、ゆっくりと食べているうちに、二組いた他の客も帰って行って一人になったのですが、その後も時間を掛けてカレー一杯をまたちびちびと食べていました。あまり人と話すのが得意では無かったため、カレー屋のオヤジさんと目を合わせるようなこともせず、ただ出来るだけ長くここにいられたらなあ、と思っていました。どれくらいの時間が経ったかも分かりませんが、不意にひげ面のカレー屋のオヤジさんに声を掛けられました。「そろそろ、店が閉まるぞ。」 私は「はい。」と小さく頷きました。もう行かなきゃな、外は寒いだろうな…とぼんやりと考えていると、オヤジさんに、「お前、行くとこ無いっちゃろ?」と聞かれました。私はまた、「はい。」と小さく頷きました。オヤジさんは、私のことをジーっと見た後、おもむろに、「お前、ここに泊まって行くか?」と言いました。「え、いいんですか?」と聞くと、オヤジさんは、「おお。」と言いました。それで、私は電話ボックスに泊まろうとしていたこと、でもあまりにも寒くて、カレー屋さんを見つけてゆっくり食べながら暖かい所にいたかったこと、福岡から自転車で野宿をしながら旅をしていることを話しました。オヤジさんが話を楽しそうに聞いてくれた後、私はカレー屋の床に寝袋で転がり、オヤジさんは暖房をつけたままにして帰って行かれました。


久々に暖かい屋内に寝たので、熟睡したようで、朝はガタガタとオヤジさんが入ってくるドアの音で目が覚めました。入って来たと思ったら、オヤジさんはトントントンと、朝食を作り始めました。そうやって、その日は朝食までご馳走になり、私は感謝を述べた後、カレー屋を出ました。


私はカレーを一杯頼んだだけだったのですが、私が困っているのを見たオヤジさんは、親切に私をカレー屋に泊めてくれました。人が本当に困っているのを見た時に、自分が出来る最大限のことをしてあげること、それがサービスの本質であることをそのオヤジさんに学びました。


その後、私は高校を卒業後に渡米し、2017年の起業後、今は小さいながらも26名ほどの社員がいます。米国的な効率性、業務の標準化を追求しているのですが、そういう米国会計事務所的な管理体制を取りつつも、時折あのカレー屋さんがしてくださったことを思い出します。そして思い出すたびに、自分は中々あのようには出来ていないなあ…と寂しく思うものです。


成人してから二度ほど、帰国した際に車で国道をたどってカレー屋にお土産を持って行ったことがあります。残念なことに、一度は定休日、一度は営業日なのになぜかオヤジさんが法事か何かで出かけておられて、近所の方に言づけてお土産を残し、帰りました。


今はまだ、手が届かない領域が多く、皆さまにももどかしい思いをさせている所も多々あるかと思います。しかし、私たちが真にお客様の成長へ貢献する会社へと発展を遂げるのは、これからだと思っています。皆さまに「なるほど、(Wow)」と言って頂けるような会社にしていく所存で引き続き努力を続けたいと思います。これからも、スタッフ一同、どうぞよろしくお願いします。






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