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経営者の視点から ~案件の定義(実践編)~

2023年6月16日



先月「案件の定義」を書いた後、「案件をまとめ、成果につなげるまでのステップが重要なのはわかりました。では、実際に現場でどのように実践したら良いのでしょうか?」という声が寄せられました。そこで今回は、弊社スタッフがBeer Bashで話してくれた、彼女の経験に基づいた話をご紹介したいと思います。


話は彼女がとある携帯電話キャリアーのスマートフォン(スマホ)を大手家電量販店で売っていた頃に遡ります。彼女は、製品を販売していて一番大事に感じたことは、「お客様に納得するスマホを購入してもらい、喜んでいただくこと」だと言います。単にスマホを売る、と言っても、大手家電量販店には競合他社が多数参入しています。どこのキャリアーがお客様と何件契約を取り付けたのか、何台売ったのか、日々顧客の取り合い合戦を繰り広げています。そこで、彼女は「どうしたらお客様が彼女から買ってくれるのか」を考えました。


仮に売り手側が自慢の製品を用意していても、お客様と話をする機会が無ければ商談を始めることすらできません。そこで彼女は、話しかけやすい雰囲気作りから始めたそうです。彼女は、とりあえずスマホを見ているだけのお客さんであればそっとしながらも気を配っていたり、少し困った様子で周りをキョロキョロ見ているお客様を見つけたら、積極的に声をかけるなど、まずはお客様との接点を増やすところから始めたそうです。そしてお客様と話を進める際、彼女は以下の視点を心掛けていました。


1. 「なぜ」スマホが必要なのかを理解する

私たちはつい、「これが多機能だから」「高画質だから」など、自分目線の価値観を相手に説明して理解してもらおうとしがちです。そうではなく、「なぜ」お客様がスマホを必要としているのかを掘り下げ、理解する所から始めます。年代、職業、ライフスタイルなどで、スマホを必要としている理由が少しずつ違ってくることも考慮に入れながら、お客様に適した機種を絞り出していきます。


2. 「何を」スマホでしたいのかを言語化する

特にスマホに慣れていないお客様は、スマホで具体的に何をしたいのか、上手に説明できないことがあります。そのような場合、売り手側はお客様との会話の中からキーワードを掴み取り、お客様が思っているであろうことを想像し、言語化して伝えます。お客様はそれが正しいかどうかを判断しながら、自分がスマホでしたいことはどういうことなのか、双方が持つ認識をすり合わせていきます。


3. 出来ること、出来ないことを明確にし、最善策を提案する

スマホも価格によって操作時のスピードや画質など、性能が異なってきます。各機種の特徴を把握して、お客様の予算も念頭に置きながら、出来ること、出来ないことを明確に伝え、どの機種がお客様にとってベストな機種なのかを提案します。


その際に大事なことは、「その機種を使った時の未来の自分の姿を想像してもらう」ことです。写真が好きな人であれば、新しいカメラ機能がどれだけ繊細な写真を撮れるのか、携帯ゲームが好きな人であれば、ハイスペックの機種でゲーム時のストレスをどれほど少なく出来るのか、年配の方であれば、センサーを活用した毎日の体調管理機能など、お客様が商品を手にした時のイメージを具体的にし、商品購入に対するお客様の不安を安心に変えていけるよう、最善を尽くします。そのイメージをお客様に持ち、かつ予算に納得がいけば、お客様は購入へと進みます。


4. 購入後も、お客様の選択は最善だったと思ってもらう

購入した後にいざ使用してみると、思い描いていたものと違ったということは誰にでもあると思います。その際、せっかく高額で買ったのに、いつもと同じ機能しか使えていない、最悪の場合、商品を再度買い替えるといったことになります。そうした状況を避けるためには、お客様自身の選択は最高だったと思ってくださることが重要となります。そのためには、売り手側も売ったら売りっぱなしではなく、機能を使いこなすための操作法をお客様と一緒に行ってみたり、スマホ講座を案内して予約してあげたりと、可能な限りお客様の視点に寄り添ったサービスを提供します。そうすることで、購入後もお客様自身の納得と満足感につなげていくことができます。


いかがでしたでしょうか。スマホ一台を売るにしても、お客様の視点に立って、実際に「なぜ必要なのか」を理解し、「何をしたいのか」の認識を合わせ、「出来ること、出来ないこと」を明確にし、「未来像を明確に描く」ことで購入につなげ、購入後も、「買って良かった」と思わせる努力をしています。これを私たちの普段の業務に当てはめてみると、まず、自分の手元にあるのがどのような案件であるのかに担当者が気づくところから始まり、上記のステップを追って考えていくことにより、やるべきことが明確に見え、お客様が本当に必要としているサービスを提供することが出来ると思います。


所で、お気づきの方もおられるかも知れませんが、彼女には、「お客様に納得するスマホを購入してもらい、喜んでいただく」以外に、もう一つ、案件が存在します。それは、「他社ではなく、自社からスマホを購入してもらい、売上に貢献すること」です。その「なぜ彼女から買うのか」を考え抜いた結果、20代の彼女が導き出した結論が「話しかけやすい雰囲気づくり」なのです。営業でも、ヘタな人ほど自分の売上➯自社の売上➯お客様の満足、という自己都合の順番で考えるものです。しかし本当に大事なのは、お客様➯自社➯自分の順番で、「自分が貢献できるものは何か」を中心に考えることです。なぜなら最終決定者はお客様であり、彼らが満足していなければ、長期的な成功はあり得ないからです。


案件の定義は、弊社の社軸「TOPC Axis」の一部として、実践することの有益性をスタッフ間で共有しています。本当に優秀な人というのは、どの業界でも、どの会社にいても、きちんと上記のステップを追って自ら考えて行動できているものです。そのような社員が弊社内にいることを、私は誇りに思いました。





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