スピルバーグ

2022年6月17日

スピルバーグと言えば、ETやジュラシック・パークを撮ったあの名監督を語源としています。以前、ある会社の友人がプロジェクトの人員配置を話す時に「映画監督のようにスタッフをキャスティングするから、うちでは配員のことをスピルバーグって呼ぶんですよ。」と教えてくれました。そのフレーズがなんとなく耳に残っていたのですが、その会社が米国を撤退するにあたり優秀な社員たちを弊社に残してくれたこと、彼らがスピルバーグについての思いを語ってくれたことから、スピルバーグを会社の座標軸として取り入れています。

今回もBeer Bashを通じて話を聞き、深く考えるにつれ、名映画監督のようにプロジェクトの配員を考えることの意義が明確になってきました。そのBeer Bashで話し合ったことの概要を紹介したいと思います。

  • 映画監督の仕事は、最高の映画を「観客のために」作るということ。

  • 映画監督は、自分のために映画を作るのではありません。観客に、最高の映画を見てもらうために映画を作るのです。自分がどう見られるかではなく、最高の映画を作るために、どう登場人物を輝かせるかを考えます。当然主役が輝くでしょうが、主役が輝くためには名脇役も必要です。陰影をつける照明係、臨場感を伝えるカメラ係、感情を揺さぶる音響係も必要でしょう。私たちの仕事も同じことです。お客様に最高の製品・サービスを提供するために、主役、脇役、照明係、カメラ係、音響係など、能力に応じ、必要な配員をします。その見極めが的確であればあるほど、良い映画を作れる可能性が上がる訳です。


  • 限られた予算から最高の結果を導き出すこと。

  • 映画監督は、ただ映画を撮れば良い、という訳ではありません。どれだけの才能の持ち主でも、特に駆け出しの頃はスポンサーの獲得など、どうにか予算を作ることに奔走することでしょう。世に名の知られた名優を使うことが出来るようになるのは、ある程度名前が売れてからです。限られた予算の中、最高の映画を作るにはどう予算を配分するのか、考え抜くことかと思います。私たちの仕事に置き換えても同じことです。常に十分な予算で仕事を出来る訳ではありません。限られた予算の中で最高の仕事をしようと努力します。どこに予算をかけ、どこを削れるか、お客様の要望を聞き出す力、配員のバランス感覚を養う力が重要となります。


  • 仕事の意義を説く。

  • 配員は、仕事を与えれば終わり、という訳ではありません。どのような仕事でも、例えコピー一枚とっておくような作業ですら、そこには意義があります。「どうしてその仕事が必要なのか」「どうしてそれが君でなくてはならないのか」、心を込めて話すことです。ただ作業をこなすだけではなく、仕事に意義を感じることが出来れば、きっと社員は生き生きと働いてくれることかと思います。


  • 結果がすべて。

  • 観客にとって、「誰が監督だったか」と言うのは実はどうでも良いことで、「その映画が素晴らしいものだったかどうか」が全てなのです。私たちの仕事に置き換えると、担当したプロジェクトチームが予算に見合った製品・サービスをお客様に提供するかがすべてであり、誰がその仕事をしたのか、どれだけの時間を費やしたのかは、二の次なのです。名監督と呼ばれる方々は、その結果を出し続けた人たちです。良い仕事を続けるからこそ、スポンサーが集まり、更に良い映画を作ることが出来るようになるのです。与えられた条件で何が出来るかをお客様と話し合い、その中で最高のパフォーマンスを発揮し、仕事の結果に責任を持つ。これはリーダーのみならず、チームメンバー各自にその心構えが必要だと言えます。それを続けることで、次第にお客様が「この人に頼みたい」と思うようになってくれるのです。

おおよそ、これが映画監督になぞらえた配員の基礎なのですが、実は技術論以上に大事な心構えがあります。それは「自分のためにスピルバーグをしないこと」です。特に組織で上に行けば行くほど、思い通りにチームの配員をすることが可能になってきます。下に居るうちは配員の不公平さに文句を言っていた者でも、いざ上役になれば、自分の仕事を楽にするため、自分の評価のため、自分が儲けるため、など私利私欲を先行させて配員を行う者が出てきます。スピルバーグをする目的は、「最高の映画を作る(結果を出す)」ことであり、リーダー一人の利益のために行うものでは無いのです。例え上手くやっていると思っていても、部下は三日で上司を見抜くと言います。もしリーダーが私利私欲のためにスピルバーグを行えば、当然部下も自分のためにスピルバーグを行うようになり、結果組織はバラバラ、士気が下がり、統率が取れない弱い組織になってしまいます。

実は私もパートナーになりたての頃、先輩から「パートナーは、お客さんからもらった売上から、出来るだけ安く社員を使い、その差額で儲けるものなんだよ。」と教えてもらい、実践していたことがあります。当然のように、社員の士気は下がり、会社の統率は取れなくなってしまいました。その状態に「何かがおかしい、何かを変えなければ。」と気づいたのですが、一番変えなければならなかったのは、私自身の心構えだったのです。本当に社員の成長を願い、最高の結果を出すために公平な配員をし、仕事をしていれば、いつか社員に伝わる日が来ます。社員一人一人がお互いのことを思い、正しく配員をし、最高の結果を出すための努力をする組織に居るのはとても心地良く、幸せなものです。だからスピルバーグをする時は、決して自分のためでは無く、最高の結果を出すため、チームメンバー全員が最高のパフォーマンスを出せるように考え、努力をするのです。映画監督ほど、銀幕の中に出て来ない存在はありませんが 、しかしその努力は誰もが知っています。その陰の努力をひたすら続けることが出来る存在、それが私たちが考えるリーダーの姿なのです。

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