夢と共に進む - Grow with Your Dreams
- TOPC Potentia
- 4月10日
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2025年4月10日

トランプ大統領の再選後、イーロン・マスクが政府効率化省 (Department of Government Efficiency, “DOGE”) のトップを務めることとなりました。経済的に価値が低いと見なされた国際開発庁を始め、様々な省庁やオフィスが閉鎖され、大規模なレイオフが行われています。彼の経費削減手腕に賛辞を送る人々もいれば、あまりに短期間に失職した人々に対して同情し、批判を強める人々もいて、世論は真っ二つに分かれています。
彼は政治に携わる以前からその人間性を含め、批判を受けることも多い人物でしたが、それでも次々と起業を成功させ、彼についてくる社員たちもいました。以前それがどうしてなのか、考えたことがあります。今回は、その理由に気づいた時の話をご紹介したいと思います。
10年ほど前でしょうか、スペースXのロケットが爆発するシーンをテレビで見ました。それはスペースXの初めてのロケット発射実験だということでしたが、その後も、またその後も失敗、爆発を続けるのをニュースで見ました。
イーロン・マスクがスペースXを創業した時、多くの人がお前はおかしいんじゃないか、と言ったそうです。ある友人は、ロケット発射が失敗し爆発するビデオを集めて、それがどれだけリスクの高い事業なのか、マスクに理解させようとしたそうです。それにも関わらず、マスクはスペースXを創業します。彼の失敗を予想したのは、一般人だけではありません。人類で始めて、月面着陸した宇宙飛行士であり技術者のニール・アームストロングですら、マスクの失敗を予想していました。実際に彼は大小の失敗を重ねます。最初の3回のロケット発射は失敗に終わりました。
マスクには、色々な欠点があるそうです。気分屋で、意に沿わない社員を瞬間的に解雇することもあったそうです。普通であれば、そんな社長に人は集まりません。マスクは天才かも知れませんが、私たちは多くの天才が経営に失敗しているのを知っています。あのスティーブ・ジョブズも、一度はアップルを追い出されました。しかし、それでも人々は集まり、彼らは成功を収めています。それがなぜか、私には長い間、不思議でなりませんでした。
2年ほど前、何かの拍子にマスクのインタビューと、4回目のロケット発射成功までの軌跡を描いた映像を見て、私はマスクの信念を知りました。
Being a multi-planet species, being out there among the stars, is important for the long-term survival of humanity.
彼の信念は、彼がスペースXを起業し、大儲けをすることではなく、人類の未来の成長発展のためには、宇宙に飛び出すことが不可欠だと信じているのです。アームストロングが彼の計画に反対だと伝え聞いた時、マスクは涙を浮かべながら ”I never give up.” と言う言葉を残していました。自分のヒーローが反対する、それでも彼は挑戦し、4回目にロケット発射に成功します。夢の大きさ、そして信念の強さ、それが欠点も多い彼に、人が惹かれ、集まる理由だと確信しました。同時に、彼が今政府で遂行している任務に大きな批判が集まるのは、彼のビジョンに賛同しない国民が、それだけ多くいるからなのだと気づきました。リーダーが掲げるビジョンの崇高さとその信念は、組織にとって何よりも重要なものなのです。
そして、自分の夢が何なのか、私は再度考えてみました。「人と会社を強くする」 「世界一働きたい会計事務所を作る」 弊社のミッションとビジョンをそう掲げていました。私は社員に、成長してお客様に価値を与えることが出来るようになって欲しいと昔から思っていました。しかし、当時、私の思いとは裏腹に、社員の意思はバラバラ、まとまりのある状態ではありませんでした。私はどうしても、自分の夢を社員と共有し、社員自身も夢を持つことが出来る会社にしなければならないと思い、自分の残りの人生を、その夢のために使う決断をしました。趣味でやっていた週末の草野球も、始めていたゴルフのレッスンも辞め、社員が成長し、幸せに感じるためにはどうすれば良いのか、ひたすら考え、ビジョンを描き続けました。社員には、彼ら・彼女らが成長し、その成長に喜びを感じて欲しいということを、何回も何回も、事あるごとに語り続けました。有志を募っては、金曜日の夜、酒を飲みながら会社はどうあるべきか、語り合い、そこで語り合ったことを、週末一人でまとめ、また社員に話し続けました。
何をやるか、ではなく、何のためにやるのか、それが何よりも重要です。私は、本気で弊社の周りの人々と会社が成長発展し、生き生きと活躍する姿を夢見ています。会計は、それをサポートするための「手段」に過ぎません。多くの人は、会計は数字を合わせて、正しい財務諸表を作ることだと思っています。確かにそれは大事な仕事ですが、数字を合わせるために会計をするのではなく、お客様がどのような状態にあるのか、どこに無駄があるのか、どうすれば成長出来るのか、それを常に考え続け、お客様をサポートすること、その志こそが何よりも大切だと思っています。私が下積み時代に味わった苦しさは、先が見えない、夢が無い閉塞感からくる苦しさでした。だからこそ、私は社員に自分の夢を語り続けます。本気で人を、会社を強くし、全ての人が生き生きと成長する環境を作りたいと思っているからです。
コロナ禍の中、弊社のお客様にも、売上が激減しただけでなく、ついには不本意ながら会社を手放さなければならなくなった方々もおられます。業績の悪化で本当に困っておられる経営者の方々も、リストラをされるかも知れないと不安を感じる社員の方々もおられるかと思います。本当につらく、苦しい状況の中におられる時、大事な会社を失ってもうダメだと思った時こそ、もう一度、自分がどうして働いてきたのか、本当はどんな会社、職場を作るのが夢なのか、思い出して欲しいのです。私も何度も何度も、挫折を繰り返しながら会社を経営してきました。もうダメだと思った時も何度もあります。しかしそれでも、社員とお客様のために努力を続けました。夢さえあれば、自分が今持っている能力以上の力を発揮することができるようになります。全てを失ってゼロになっても、夢さえあれば、もう一度やり直せます。
私の夢は、「人と会社を強くする」ことです。その夢を全社員と共有し、お互いの能力を高めあいながら、お客様の成長に貢献したいと思っています。全社員がその夢を本気で信じることができるまで、何回でも諦めずに語り続け、この会社を、社員が誇りに思える会社にしていこうと思っています。その私の信念から、「夢と共に進む - Grow with Your Dreams」を弊社の座標軸に据えています。
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