2022年4月26日
米国市民、永住権保持者、税法上の居住外国人でビジネスや個人的理由で、米国外で収入を得たり、米国外に居住する必要が生じることがあります。米国市民または米国税法上居住者は、米国に居住しているか否かに関係なく、全世界所得が米国の所得在の対象となります。海外に居住する米国市民は、租税条約が適用されない限り、しばしば外国の居住国からの課税も受けるため、二重課税になる可能性があります。条件を満たしている納税者は、外国所得控除(Foreign Earned Income exclusion)、外国税額控除(Foreign Tax Credit)を利用することで、この税負担を軽減することができます。
居住地が米国外にある米国市民または税法上の居住外国人は、以下のいずれかに該当していれば、Foreign Earned Income Exclusionを受けることが可能です。
米国市民で、納税年度全体を含む連続した期間、外国に居住していたことにより、Bona Fide Residence Testの要件を満たしている者
米国市民で、連続する12ヶ月の間に少なくとも330日間、外国に滞在し、Physical Presence Testの要件を満たす者。
Foreign Income Exclusionにおいて、所得には賃金、給与、専門職報酬、その他実際に提供された個人的なサービスの対価として受け取った金額が含まれ、現金以外の報酬の公正市場価値も含まれます。
Foreign Earned Income Exclusionの定義
米国市民または税法上の居住者のタックス・ホームが米国外にあり、Bona Fide Residence TestまたはPhysical Presence Testのいずれかを満たす場合、その納税者は毎年、指定された金額の海外所得を総所得から除外することを選択できます。除外された所得を受ける為に直接関連する費用は控除されず、また除外された所得に課された外国所得税は米国税から控除されます。
年間インフレ調整額までの外国人所得を総所得から除外できる最高額は以下の通りです。
2022年に始まる課税年度では$112,000
2021年に始まる課税年度では$108,700
Foreign Earned Income Exclusionにはスタッキング・ルールが適用され、控除対象外の所得に適用される税率が決定されます。スタッキング・ルールの目的は、海外に住む米国市民が、米国に居住し働いている個人と同じ米国の税率が適用されるようにすることです。従って、米国外所得から除外されている所得は、除外されていない所得に適用される通常税率および代替ミニマム税率を決定する目的では含まれることになります。スタッキング・ルールのもとでは
通常の所得税は、納税者の課税所得が除外された金額と等しい場合に課される税金を、除外された金額だけ増加した場合に課される税金があれば、その超過分に相当します。
暫定税率は、納税者の課税超過額が除外された金額と等しい場合に暫定的に課税される最低税額となる金額を超える金額に相当します。ただし、非除外所得に対する暫定税率の計算は、代替ミニマム外国税額控除を考慮することなく行われます。
Foreign Earned Income Exclusionと按分計算
米国市民および税法上の居住外国人で、ある課税年度の一部についてしか所得控除を受けられない場合、その課税年度において対象となる日数に基づいて所得控除額を按分する必要があります。控除可能な最大金額は、適格日数を乗じ、課税年度の日数(366日となる閏年を除く365日)で割ったものです。
Foreign Earned Income Exclusionを選択する場合
Foreign Earned Income Exclusionは、Form 2555を、Form 1040 または Form 1040-SR に Form 2555 を添付して提出します。またIRS は正当な理由がある場合、規定の期間を超えて妥当な延長を認めることがあります。
また、適格期間の終了後まで申告期限の延長を申請することもできます。この延長申請は、Form 2350, Application for Extension of Time To File U.S. Income Tax Return を使って行います。一般的には、Bona fide foreign residence test に該当すると判断された暦年の翌年1月31日まで延長を申請することが多いようです。ただしForm 2350は、連邦所得税の納付期限を延長するものではありません。
Foreign Earned Income Exclusion選択の取り消し
納税者は、Foreign Income Tax Exclusionを選択した年の翌年以降、IRSの許可を得ることなく、Foreign Income Tax Exclusionの選択を取り消すことができます。取り消しは、効力が発生する年の申告書の原本、修正申告書、または遅滞申告書に添付して提出することで行います。一旦取り消しされると、納税者は、最初に取り消しが有効になった課税年度から5年間、IRSの同意を得ない限り、Foreign Income Tax Exclusionを申請することができません
最後にForeign Income Tax Exclusion Foreign Tax Creditは様々なルールがあります。申告の際に正しく控除を行わないとIRSから追加納税やペナルティを課される可能性もあります。Foreign Income Tax ExclusionやForeign Tax Creditなど、正しく申告するよう専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
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