2024年3月15日
寿命が伸び、人生100年時代と言われている今こそ、退職後の貯蓄を見直し、自身の計画に合っているかどうかを考えるよい機会ではないでしょうか。税法は、個人の退職後の積み立てや年金プラン(Traditional IRAやRoth IRAなど)、さらには、雇用主が出資する適格プランや非適格プラン(401(k)プランなど)に個人が拠出することに対し、大きな優遇措置を提供しています。また、特定の所得区分に該当する投資家は貯蓄者控除(Saver’s Credit)を利用できる場合があり、これにより全体の節税効果をさらに高めることができます。税法は、個人が退職後の資金を積み立てしやすいように設計されています。
税制上の優遇措置には、拠出金の控除、プラン内の資産増加に対する税金の繰り延べ、非課税分配の可能性などが含まれます。最適な投資の選択は、個々の税金と全体的な財務状況によって異なります。拠出の種類に関係なく、拠出はなるべく早めに行う方が得策です。長い期間に渡って継続的に拠出を続ければ、退職直前に拠出するよりもはるかに大きく安定した利益が得られます。
401Kプラン
各従業員は、税引き前に給与から削減する「選択的繰延」を通じて401(k)プランに拠出します。つまり、401(k)拠出金は、従業員の拠出額によって賃金が減額されるため、W-2のBox 1の課税対象額には含まれません。ただし、この給与削減額はBox 3の社会保障税、Box 5のメディケア税には含まれます。これにより、従業員は401(k)の拠出額に対して社会保障のクレジットの積み立てを減額されることはありません。従業員の401(k)プランへの参加を奨励し、これらのプランが不公平でないことを証明するため、雇用主は多くの場合、401(k)へのマッチング拠出を行います。
1年間の401(k)の拠出額には、インフレーション調整後の特定の制限が2つあります。
従業員個人の選択的拠出額に対する制限
雇用主の拠出金を含む拠出金全体の制限
2024年、加入者は選択的繰延を通じて最大$23,000(2023年は最大$22,500)まで401(k)に拠出することが可能です。50歳以上は、最大$7,500まで追加のキャッチアップ拠出を行うことができ、2024年には$30,500(2023年は$30,000)が可能となります。雇用主の拠出金を含めた401(k)の拠出金の上限は、2024年が$69,000(キャッチアップ拠出金を含むと$76,500)、2023年が$66,000(キャッチアップ拠出金を含むと$73,500)または報酬の100%のいずれか低い方となります。
個人退職口座(IRA)
個人退職口座(IRA)は個人が税引き前または税引き後に拠出できる退職金の手段です。納税者の雇用主が提供する401(k)プランとは異なり、ほとんどのIRAは個人が自ら設定するものです。IRAには以下の四種類があります。
o Traditional IRA
個人が所得税申告書で拠出金を控除できるようにする個人退職口座です。控除対象となる拠出額を控除対象外として取り扱うことも可能です。IRAでの収益は税金を繰り延べて増やすことが認められており、所得税の対象となるのは分配時のみとなります。拠出に年齢制限はありません。分配金はIRAの所有者が72歳に達した時点から毎年受け取る必要があります。個人またはその配偶者が職場で退職金制度に加入している場合、拠出額のすべてを控除できない場合があります。
o Roth IRA
Traditional IRAとは異なり、個人はRoth IRAへの拠出金は控除できない代わりに、Roth IRAからの適格分配金は非課税となります。また、Roth IRAへの拠出はいつでも行うことができ、生存中にRoth IRAから分配金を受け取る必要はありません。個人のRoth IRAへの拠出額は申告のステータスと収入に基づいて制限される場合があります。
2024年のTraditional IRAとRoth IRAの合計拠出総額は$7,000(50歳以上の場合は$8,000)2023年は$6,500(50歳以上は$7,500)、またはその年の課税対象報酬のいずれか低い方に制限されています。
SEP IRAとSimple IRA
個人事業主はSEP IRA (Simplified Employee Pension Plan:事業者掛金負担のある個人退職積立) 、またはSimple IRA(従業員向け貯蓄インセンティブマッチプラン)に加入することもできます。
SEP IRAは2024年で最大$69,000(2023年は$66,000)または従業員報酬の25%を拠出することができます。
Simple IRAにおける従業員の拠出限度額は2024年で最大$16,000(2023年は$15,500)まで拠出可能であり、50歳以上の従業員は$3,500の追加のキャッチアップ拠出が可能です。
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