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遺産税プランニング - 遺産税の基礎控除

2025年5月22日



日本で一般的に使用される「相続税」の納税義務者は相続人ですが、米国では「遺産税」と呼ばれ、被相続人(亡くなった人)の遺産から税金が差し引かれます。以下では、日本の相続税対策に類似した「遺産税対策」の一部である基礎控除についてご説明します。

 

配偶者間の財産の移動は原則非課税なので、配偶者に全遺産を残せば、連邦遺産税を支払う必要はありません。しかし、特別な規則「ポータビリティ」が適用されない限り、配偶者が亡くなった際に遺産から支払う遺産税が増える可能性があります。これは、各人が配偶者以外の受益者(例えば子供)に遺産を残す場合、一定額を控除することができるためです。この額は「基礎控除」と呼ばれ、連邦遺産税が課税されません。2024年に亡くなった方の連邦遺産税基礎控除額は13.61百万ドル、2025年に亡くなる人の基礎控除額は13.99百万ドルです。遺産の全てを配偶者に残すと、基礎控除額が未使用のまま失われる可能性があります。

 

例えば、夫が2024年に1400万ドルの遺産を持って亡くなり、全てを妻(自己資産99万ドル所有)に残した場合、配偶者控除によりその時点では税金は発生しません。しかし、妻が2025年に1499万ドルの遺産を持って亡くなると、1399万ドルのみが基礎控除の非課税で受益者に渡されます。超過分の100万ドルは課税され、推定40万ドルの税金が発生します(税率40%と仮定)。夫の1,361万ドルの基礎控除額は失われてしまいます。

 

これを避けるために、夫は1,361万ドルを子供(または他の配偶者以外の受益者)に残し、残りを妻に残すことができます。この方法では、両方の遺産の基礎控除額を最大限に活用し、どちらの死亡時にもほとんどまたは全く遺産税が発生しません。

もし妻に直接残す100万ドルが十分でない場合、夫は代わりに1361万ドルを信用保護信託(Credit Shelter Trust - CST)に預け入れて残すことができます。この信託は、妻が生涯にわたって資産からの収入を受け取り、最終的に資産は子供に税金なしで渡されます。夫の基礎控除額は保持され、信託内の資産は妻の遺産で再度課税されません。

 

留意事項として、資産が少ない方の配偶者が先に亡くなった場合、遺産税基礎控除額を使用する機会を失う可能性があります。これは、資産の多い配偶者が生前に他の配偶者に資産を贈与することで修正できます(これらの贈与は通常、税金の影響なしに行うことができます)。

ここでは、最初に亡くなった配偶者の未使用の基礎控除額を生存配偶者が使用できる特別な規則があります。これを「ポータビリティ」と呼びます。これを使用するには、亡くなった配偶者の遺産がIRSフォーム706を提出し、未使用の基礎控除額の譲渡を選択する必要があります。

例えば、夫が2024年に1,400万ドルを持って亡くなり、全てを妻(自己資産99万ドル所有)に残した場合、夫の遺産は税金を支払わず、1,361万ドルの基礎控除額を使用しません。しかし、夫の遺産がフォーム706を提出し、ポータビリティを選択すると、未使用の基礎控除額が妻に譲渡できます。妻が2025年に1,499万ドルの遺産を持って亡くなると、妻は自身の1,399万ドルの基礎控除額と夫の1,361万ドルを使用できるため、1,499万ドルが遺産税の課税なしで保護されます。

 

時には、遺産の全てを配偶者に直接残すことが理想的でない場合があります。例えば、前の結婚からの子供がいる場合や、配偶者が資産を管理する能力に懸念がある場合です。このような場合には、QTIP信託(Qualified Terminable Interest Property trust)を使用できます。QTIP信託は配偶者控除の対象となりますが、配偶者の死亡後に誰が資産を受け取るかを決めることができます。配偶者は生涯にわたって信託からの収入を受け取りますが、信託の元本はその後、子供や他の受益者に向けることができます。これにより、税金対策と家族の目標の達成の両方に役立ちます。

 

配偶者控除は有益なツールですが、効果的に使用するには綿密な計画が必要です。税金の節約だけでなく、家族の経済的な需要、資産管理、長期的な意向も考慮することが重要です。遺産プランニングアドバイザーに相談することで、経済的、また個人的な優先事項の両方を考慮することができます。






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