トランプ減税法案: Section179の即時償却
- TOPC Potentia
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2025年11月14日

2025年7月4日にトランプ大統領は、”One Big Beautiful Bill Act (OBBBA)”、いわゆる「トランプ減税法案」に署名しました。この法律は数多くの税制改正が含まれており、特にSection 179 の即時償却制度に関する変更は、多くの納税者に影響を与えることが予想されます。以下では、Section 179の主な変更点について解説します。
Section 179の概要
まずSection179の即時償却は、Section168(k)のボーナス償却(Bonus depreciation)よりも先に適用されます。Section 179およびボーナス償却を適用した後に残る資産の未償却残高については、MACRS(IRSが定める耐用年数・償却方法に基づく減価償却制度)により減価償却を行います。
Section 179に基づき、納税者(遺産、信託、一部の非法人貸主を除く)は、一定の事業用資産(Section 179資産)の取得費用を資本化せず、その年の経費として即時に償却することを選択できます。通常、Section 179 資産には、事業活動のために取得した新品または中古の減価償却可能な有形固定資産(いわゆるSection 1245 資産)が含まれます。
また、適格不動産(Qualified real property)も控除対象となる場合があります。これには、適格改良資産に加え、非住宅用不動産に対する一定の改良(屋根、空調設備、防火設備、防犯システムなど)も含まれます。
納税者は、対象資産の取得費用の全額または一部を即時償却として控除することができ、控除額は通常その資産の取得原価と同額ですが、いくつかの制限が設けられています。
また、Section 179による控除額は、その年における事業活動から生じた課税所得の合計額が上限となります。この課税所得の制限により、当年に控除しきれなかった金額は、翌年以降に繰り越して控除することができます。
OBBBA による主な変更点
OBBBA により、2024年12月31日以降に開始する課税年度で使用を開始した資産について、Section 179 の制限額が以下のように引き上げられます。
1.控除限度額(Dollar Limit)
旧制度:1,000,000ドル (2025年はインフレ調整により1,250,000ドル)
新制度:2,500,000ドル
2.ドル制限額(フェーズアウト)
旧制度:2,500,000ドル (2025年はインフレ調整により3,130,000ドル)
新制度:4,000,000ドル
※Section 179 資産の年間取得額が4,000,000ドル を超える場合、その超過分に応じて控除限度額が1ドルごとに減額されます。(例:年間取得額が5,000,000ドルの場合、ドル制限額が1,000,000ドル超過しているので、控除限度額は従来の2,500,000ドルから1,500,000ドルに減額されます。)
年間取得額が6,500,000ドルに達すると、控除額はゼロとなり、Section 179 の適用が出来なくなります。(フェーズアウト)
これらの新しい制限額は恒久的なものであり、2026年以降の課税年度からはインフレ調整が適用されます。
例外
OBBBA は、SUV(スポーツ用多目的車両)に関するSection 179 の控除限度額の引き上げは行っていません。そのため、2025年に取得・使用を開始したSUV についての控除限度額は、引き続き1台あたり31,300ドルとなっています。
これらの税制改正は、設備投資計画や税務戦略に大きな影響を与える可能性があります。本改正が貴社にどのような影響を与えるか、ご相談をご希望の場合は、ぜひ弊所までお気軽にお問い合わせください。




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