OBBBA:州税および地方税控除額の変更
- TOPC Potentia
- 2 日前
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2025年12月11日

トランプ大統領は2025年7月4日、「One Big Beautiful Bill Act(OBBB法)」に署名し、法律として成立しました。
この法律で個人納税者にとって最も影響の大きい変更の一つに、一時的な州税および地方税「State And Local Tax」(SALT)控除の上限額の引き上げがあり、2025年1月1日以降に開始する課税年度に適用されます。
背景
SALT控除とは、項目別控除を選択した個人納税者が、州や地方自治体に支払った次に挙げる税金、【州および地方に支払った所得税、セールスタックス(所得税の代わりに選択した場合)、不動産及び動産資産のプロパティータックス】を控除できる制度です。
2017年のTax Cuts and Jobs Act(TCJA)依頼、SALT控除には年間 10,000ドル(夫婦個別申告の場合は 5,000ドル)の上限が設けられています。この制限により、高税率州の納税者にとって控除の恩恵が大幅に減少するなどデメリットもありました。またこの制度には、外国税や、パススルー事業体による事業レベルで支払われた税金は適用されません。
OBBB法による更新内容
OBBB法により、ほとんどの個人納税者に対するSALT控除の上限額は10,000ドルから40,000ドル(夫婦個別申告の場合は20,000ドル)に引き上げられます。この改正は2025年1月1日以降開始する課税年度から適用され2029年まで継続されます。
2年目以降2026年からは控除上限額は毎年1%ずつ引き上げられますが、2030年以降は従来の10,000ドル(夫婦個別申告の場合は5,000ドル)に戻ります。
この増額控除は、修正後調整総所得(modified AGI)が高い納税者に対して段階的に縮小されます。2025年においては、修正総所得が50万ドル(夫婦別々申告の場合は半額の25万ドル)を超えると段階的廃止が開始されます。上限額は、MAGIが閾値を超えた金額の30%分だけ減額されますが、10,000ドル(夫婦別申告の場合は5,000ドル)を下回割ることはありません。

※1 またこの目的での修正後AGI(Modified AGI)は、外国で得た所得の除外、外国住宅費用、米国領土での所得を考慮しないAGIです。
パススルー事業体税(PTET)
OBBB法は、納税者が州レベルでのパススルー事業体税(PTET)選択を通じて、連邦SALT控除の上限を緩和する仕組みを維持しています。
この制度では、パートナーシップやS法人が州所得税を個人レベルではなく事業体レベルで支払うことを選択でき、この選択により、税負担が事業体に移り、事業体の所有者はSALT控除の上限を回避できるため、PTET選択を認める州では有効な節税手段となります。
