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車両の減価償却と税額控除

2023年11月20日



前回は「事業用車両の控除額の最大化」として、事業目的で使用する車両の必要経費の控除について制度の概要をご紹介いたしました。今回は、各制度を実際に利用する際に参考となる詳細情報を実務的な観点からご説明いたします。


標準マイレージレート対実費方式

自営業者は、自動車の運用にかかる実費を証明する代わりに、自動車の業務使用における控除対象費用を、標準マイレージレート方式を使用して計算することができます。また、自家用車を業務に使用する従業員の経費精算においても、標準マイレージレート方式を使用することができます。前回もお伝えしましたが、同時に4台までの自動車を運用する企業は、実費を記録する代わりに、この標準マイレージレートを用いて控除をすることができます。2023年の標準マイレージレートは1マイル当たり65.5セント、2022年の標準マイレージレートは1マイル当たり58.5セントです。なお、実費方式を採用する場合に控除が可能な費用は、減価償却費・リース料・登録料・免許証・ガソリン代・保険料・オイル代・修理代・車庫代・通行料・タイヤ代・駐車場代などがあります。


証明書類やデータの管理

記録管理を適切に行うことは重要です。要件は使用する方式によって異なります。標準マイレージレート方式を使用する場合は、走行距離・行き先・目的を記す日報を作成する必要があります。実費方式での記録管理はやや面倒です。実費方式においても、事業での使用割合を計算するため、走行距離を記録する必要があります。さらに、経費を証明するための領収書・請求書・その他の書類を保管しておく必要があります。これにより、減価償却費の請求に必要な事業用車両の実費や使用日の証明が可能となります。


ボーナス減価償却

2017 年 9 月 27 日以降に事業用車両を取得し、2023 年までに業務目的で使用を開始した納税者は、使用開始年に 100 パーセントのボーナス減価償却控除を受ける権利があります。そして、2023 年に使用を開始した車両に対するボーナス減価償却率は 80% となり、それ以降、2027 年に0%となるまで毎年 20% 減少します。高級車に関しては、規則により、初年度に控除された金額が上限となります。(例えば、2023年に使用を開始した車両に対する上限は20,200ドルです。)ただし、IRSのセーフハーバーを適用しなければ、その車両の通常の減価償却期間の残りのどの年においても、減価償却費控除を請求することはできません。これは、納税者が 80% のボーナス控除を申請していた場合、残りの耐用年数における減価償却費の車両価額が、部分的に減額されているためです。減価償却期間以降は、残存価額が完全に回収されるまで、1年あたり一定の割合(2023年に使用開始された車両の場合は6,960ドル)で減価償却費を控除することができます。


この計算上の 「ずれ」は、車両の使用を開始し、最初の課税年度にIRSのセーフハーバーを適用することで回避することができます。これにより、車両を使用開始した年には、初年度の減価償却限度額(2023 年は$20,200)まで控除することができます。また、減価償却期間以降は、納税者は各年ごとに認められた減価償却費控除額を請求することができます。減価償却費控除額は、初年度の償却限度額(2023 年は$20,200)を差し引いた車両価格に、適用可能な減価償却率をかけて計算します。ただし、その年の減価償却限度額を下回る場合には、控除額は減価償却限度額に制限されます。また、セーフハーバー適用のための申告は必要ありません。


自動車の減価償却と年間償却限度額

自動車の使用を開始した年とそれ以降の各年において、自動車の減価償却費控除に対する年間償却限度額が定められています。この年間償却限度額とは、自動車に対して控除できる最大減価償却額であり、金額は使用開始日に基づいて決まります。


下の表は、2017 年 9 月 27 日以降に取得し、2023 暦年中に使用を開始した自動車に対して、ボーナス減価償却が適用される場合の減価償却限度額の表です。


下の表は、2023暦年中に使用開始した自動車に対して、ボーナス減価償却が適用されない場合の減価償却限度額の表です。


新車および中古車クリーンカー控除

2022 年 12 月 31 日より後、そして2033 年 1 月 1 日になる前までに電気自動車または燃料電池自動車を購入する納税者には、チャンスが与えられる可能性があります。特定のメーカーによる自動車生産台数の制限はもはや必要ありませんが、この控除によって、車両およびバッテリーシステムの重要部品に調達要件が課せられることとなります。最大控除額は 7,500 ドルに据え置かれますが、所得やメーカー希望小売価格による制限が含まれます。さらに、2032 年まで、過去に所有していたクリーンカーの購入に対する最大 4,000 ドルの新たな控除も所得制限付きで利用することができます。対象となる自動車は、省エネ基準を含むいくつかの審査基準に該当する車両です。この控除は通常、払い戻し不可の個人控除であるため、未使用控除額の返金や繰り越しはできません。ただし、減価償却資産に帰属する部分については、事業控除の一部となり、繰越規定の対象となります。

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