関連当事者取引の監査
2026年9月17日

多くの企業は関連当事者と取引しています。関連当事者には、社長、役員、子会社、共通支配下の企業、さらにオーナーの家族・友人まで含まれます。監査では、それらとの取引が正常かつ適法か、透明性のある財務報告を確保するために注意を払う必要があります。
リスク評価
関連当事者との取引は不正や法令違反のリスクを高めるため、企業規模を問わず注意が必要です。重要な関連当事者取引が開示されていない場合、あるいはそのような取引が独立第三者間の条件(arm's length)、すなわち市場価値で行われていない場合、その企業の財務成績は適切に表示されず、貸し手や投資家などの利害関係者に誤った判断を与える可能性があります。たとえば、ある企業が子会社に市場価格を下回る家賃を支払うことで、利益を押し上げることができます。
こうしたリスクがあるため、監査人は監査の計画段階から、関連当事者リスクに対する強化された監査手続を実施します。
経営者の役割
財務諸表の作成について最終的な責任を負うのは経営者であり、監査人ではありません。関連当事者を識別することも、その責任に含まれます。ただし、役員個人の兼業先や親族が関わる取引などは、本人からの申告がなければ会社側でも把握できません。利益相反に関する方針を設け、役員や主要な従業員に社外での関係を定期的に申告してもらうことで、こうした関係を早い段階で把握できるようになります。
企業は、関連当事者との関係および取引を財務諸表の注記で開示する必要があります。開示にあたっては、関係の性質、取引金額、および未決済残高を記載します。
個別に設計された監査手続
往査の過程において、外部監査人は、関連当事者取引が適切に識別され、会計処理され、開示されているかを判断するため、十分な監査証拠を入手する必要があります。監査人はまず、関連当事者との財務的な関係および取引について、その性質、条件、事業上の目的などを深く理解するための質問から始めます。その後、会社から提供された情報だけに依拠せず、公開情報や外部の資料にあたって裏付けを取ります。ここで、経営者自身が把握していなかった関係が判明することもあります。
開示されていない関連当事者を発見する手がかりとして、監査中に収集される情報には次のようなものがあります。
会社のウェブサイトに掲載されている情報
顧問弁護士からの確認状の回答および請求書
税務申告書
会社が契約している生命保険
契約書やその他の合意書
会社の組織図
さらに監査人は、通常の事業の過程から外れた重要な取引や、時期・規模・性質の点で異常と見受けられる取引を精査します。
最後に
透明性のある財務諸表の作成に向けて、関連当事者との財務的な関係および取引に関する情報は、すべて監査人と共有してください。特に本年度中に開始した新たな取決めについては、期末の財務諸表で適切に開示できるよう、早めに監査人と話し合っておきましょう。




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