オーナーシップはリーダーシップの始まり

2022年8月12日

全ての人が経営者になる訳ではありませんが、全ての人にリーダーシップは必要だ、と言われます。リーダーシップとは何だろう、そもそもどうやればリーダーシップが育つのだろう、というのは私の長年の課題でした。歴史上、優れたリーダーはたくさんいます。日本史で言えば、織田信長や西郷隆盛などが優れたリーダーとして挙げられるかと思います。桶狭間、長篠の戦いにおける信長の発想力、負けた庄内藩に勝った薩摩軍を丸腰で入城させ、庄内藩士を帰服させた西郷の人間力、二人とも素晴らしいリーダーシップを発揮したのは間違いないのですが、あまりにも個性が異なる訳です。歴史上著名なリーダーたちはそれぞれが異なる強烈な個性を持っているため、益々リーダーシップを育てる、という課題については長い間、答えを持ちませんでした。


どうすればリーダーシップが育つのか。3、4年前にようやく私が出した結論は、「オーナーシップこそ、リーダーシップの始まり」であるということです。何も特別なことではありません。まず、自分が与えられた仕事に責任を持つことです。企業において、それ以上に基本的なリーダーシップは存在しないのでは無いでしょうか。


とは言え、実際には任せられる仕事の内容と期待値自体、年次を経るにつれ変化していきます。入社したての新入社員に大きなプロジェクトを任せるのは無理がありますが、経営者がプロジェクトを終わらせただけで仕事が出来ている、と思っているようでは会社は立ちいかなくなります。やはり経験や職階によって期待されるオーナーシップの幅と深さに違いがあります。今回は、私たちが思う、各職階でのオーナーシップについて書いてみようと思います。ちなみに、スタッフ=平社員、シニア=主任~係長、マネージャー=課長~部長、という感覚で見て頂ければと思います。


スタッフ: スタッフの場合、まずは言われたタスクを確実にこなす所からオーナーシップは始まります。おそらく入社したての時は、言われたことを言われたようにこなすだけで必死なはずです。それは仕方の無いことで、まず大事なのは、言われたことを期日内に、可能な限り高いクオリティーで完成させることです。それが出来れば、まずはスタッフとしてのオーナーシップを持っていると言えるかと思います。


シニア: シニアレベルになると、一つ一つのタスクを完了させることから、プロジェクトを完了させることに焦点が移行するようになります。プロジェクトになると、複数のスタッフが関わることもありますし、複数のタスクをまとめ、一つのプロジェクトを作り上げる必要性が出てきます。タスク一つにしても、指示を出し、完了させれば良い、という訳にはいかなくなります。そのタスクがどうして必要なのか、どうプロジェクト全体に貢献するのかを理解し、スタッフに適切に説明する義務が生じるからです。タスクの目的と意義を理解したスタッフは、ただ命令されてタスクをやっているだけのスタッフとは、やる気も、成長のスピードも変わってきます。プロジェクトを完了させるだけで無く、スタッフのやる気を引き出し、成長をサポートするのも、シニアに求められるオーナーシップと言えます。


マネージャー:マネージャーレベルになると、一つ一つのプロジェクトを完了させることから、グループ全体の複数のプロジェクトの進捗に気を配るようになります。一人のシニアのプロジェクトが完成に近かったとしても、他のシニアのプロジェクトは遅れているかも知れません。全体としてのバランスを見ながら、各プロジェクトが予定通りに終わるよう、リソースを配分し、各シニアと連携を取りながら進めて行く必要があります。しかしマネージャーの仕事はそれだけではありません。個客が困っていることは何か、言葉や表面に現れる事象だけでなく、本質的な内容まで深めて理解しておく必要があります。その上で、個客と期待値を合わせるために協議を行い、結果をシニアに明確に説明し、プロジェクトの方向性を定める必要があります。価値が無い、と思うプロジェクトにお金を出してくれる個客はいません。さすがだ、と唸らせる仕事ほど、個客は価値を感じてくれて、売上も上がるものです。各プロジェクトの目的と個客に与える価値を明確にし、それを可能にする配員を行い、グループ全体の採算制を担保する。それがマネージャーのオーナーシップと言えます。


これが、弊社が考える各職階で期待されるオーナーシップとなります。まずはこれを満たすことが出来れば、各職階で十分に活躍していることでしょう。オーナーシップの幅と深さは職位が上がるほど大きくなる訳ですが、それだけ仕事の醍醐味を理解している、ということにもなります。実際には大変な業務だとは思いますが、弊社のマネージャー達は本当に生き生きと仕事をしてくれていて、スタッフ全員に良い影響を与えてくれていると感じます。


その前提の中でも、やはりキラリと光る人はいるものです。新入社員の中にも、与えられたタスクの目的はどこにあるのか、理解しようとする人が現れます。例え直ぐには理解出来なくても、質問をして自分なりに理解しようとします。こういう人を見ると、将来が楽しみになります。自分のオーナーシップの幅を広げようと考え努力をしている姿勢が見えるからです。また、中には時間が余った時、他に自分が出来ることが無いかを探し、頼まれてもいないタスクを始めるスタッフもいます。仕事の価値は、頼まれたことをこなすだけでなく、プロジェクト全体にどれだけの貢献を出来るかで決まるということを人生のどこかで学んできているからです。こういう人もまた、将来が楽しみになります。


オーナーシップというのは、実際には与えられるものでは無く、自分で決めるものです。自らの意志がどれだけ大きいかで、スタッフでもシニアレベル以上のオーナーシップを持つことが出来るようになります。周りの誰から見ても、このスタッフはシニアレベルのオーナーシップを発揮している、となれば、昇進に反対する人は一人もいなくなることでしょう。そのように、自分の可能性を広げるには、自分のオーナーシップの幅と深さを広げていく確固とした意志を持つことです。その姿勢を持ち続ける人は、確実に成長します。それ以上に成長を担保できるものは無い、とまで言えるほどです。


長くなりましたので、経営者のオーナーシップについては次回書いてみたいと思います。



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