経営者の視点から ~地味な努力を積み重ねる~
- TOPC Potentia
- 9月22日
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更新日:9月30日
2025年9月22日

お恥ずかしい話ですが、私は高校時代まで、努力を積み重ねるような人間ではありませんでした。運動や勉強の能力は生まれつき備わっているもので、才能がある人にはどれだけ努力をしても勝てないし、頑張るだけ無駄だ、と思っていました。
しかし、高校3年生になり、進路に本気で悩み始めた時に初めて、ふと、「生まれ持った才能は変えられないが、その才能を可能な限り伸ばすのは自分の努力だ」という、当たり前すぎる真理に気づいたのです。私は、この当たり前のことすら気づかずに18年間生きていたのが恥ずかしくなり、それまでの自堕落な生活を強制的に改めるために、「努力しなければ生き延びられない環境」に身を置こうと決意し、渡米することにしました。英語も十分に話せず、文化も違う中で確実に生き延びるには、まさに「地味な努力」を絶え間なく続けることが必要となりました。日本で何となく、上手に立ち回って才能の幾割かだけを使って生きるより、大変でも努力を続けることの楽しさを味わうことが出来たことは、本当に幸運なことであったと思います。
今回、Beer Bashを通じて、スタッフが共有してくれたこと、そして私自身の経験からどうして地味な努力が必要なのか、また、どうして地味な努力をついつい忘れてしまうのかを考えてみたいと思います。
質は量から生まれる
「仕事の質を高めろ」と言われることは良くありますが、人は、突然仕事の質を上げることは出来ません。イチローのような超一流の人間ですら、地味な素振り、基礎トレーニングを誰よりも多く積み重ねていた訳です。これは、「考えてから体を動かす」のではなく、「考えなくても体が動く」まで、量をこなして体に動きを染みこませるためです。仕事も同じことです。見た瞬間答えが分かるくらい、基礎を何度も繰り返すことで、正確性は上がり、仕事の質も上がっていくものです。
課題を見つけ続ける姿勢が成長を生む
自分が「できている」と思うと成長は止まります。本当に自分のやり方がベストなのか、より良いやり方が無いのか、常に課題意識を持ち、考え続けることです。改善を続ける習慣を持つ人は、どの分野においても成長が止まることがありません。
努力は必ずしも望んだ結果につながるとは限らない
まず、理解すべきなのは、努力が常に結果につながるとは限らないという事実です。例えば、一生懸命に受験勉強をしても、希望する大学に落ちてしまうこともあります。一時的には努力がムダになったように感じるかも知れません。しかし、ここで大事なのは、例え希望する結果を得ることが出来なかったとしても、「努力を続ける習慣」を身につけることが出来た、という事実です。努力を続ける習慣を身につけた人は、そうでない人に比べて、それからの人生において、成功する可能性を大きく伸ばすことが出来るはずです。
人生に幸運は必要だが、努力をしない者は幸運を生かせない
世の中には、「運よく成功する」人も一定数います。株式投資などに限らず、ビジネスにおいても良い社員に巡り合う、大口のお客様に出会うなど、多少の運も、ビジネスを成功に導くには必要です。しかし、地味な努力を続けない経営者は、良い社員ほど愛想を尽かして転職するでしょうし、大口のお客様ほどより品質の良い製品・サービスを提供してくれる会社に鞍替えしてしまうものです。結局、出会った幸運を生かすも殺すも、それからのその人の努力次第なのです。
人の成功を妬まず、謙虚に学ぶ姿勢を持つ
◦自分より成功している人が周りにいる時は、その人の成功を妬むのではなく、彼らの努力や工夫を学 ぶことです。あなたの素直に、謙虚に学ぶ姿勢は、成功した人ほどその素晴らしさを理解し、あなた の成功を相手も考えてくれるようになるものです。
◦また、謙虚に学ぶべき対象は、何も成功者だけとは限りません。例えば上述の「課題を見つけ続ける 姿勢が成長を生む」に関しては、弊社の大学生インターンが、自身のエピソードを交えながらBeer Bashで話してくれた議題です。年齢が下だから、職階が下だからと軽んじることなく、良い話をし てくれたら、素直にそれを聞く姿勢を持ち続けることは会社を明るくし、社員の成長を促す文化を醸 成するためにとても重要なことだと感じます。
世の中には、運よくお金持ちになる人たちも確実にいます。また、運よく当てる「一発屋」タイプの人たちもいます。そういう一発当てた人たちを見ると、努力をすることが無駄に思えてしまうこともあるかも知れません。しかし、たまたまお金持ちになったのではなく、そこにつながる努力を積み重ねた人は、「どうしてそれが当たったのか」を自分の行動から理解し、成功を再現することが出来るようになります。大きな一発では無くても、小さな成功を積み重ねることで、盤石の成功を築き上げることが出来るようになるのです。一つの会社を成功に導いた人が、次をまた成功に導く可能性が高いのは、どうやれば成功するのか、努力の方法と考え方を十分に理解しているからです。
謙虚さを持ち、人の長所から学び、自分ができることをコツコツと積み重ねる。そんな「地味な努力」を続ける人こそが、真に安定した人生を築けるのです。




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