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米国に一時的に滞在している非居住外国人の連邦税申告要件

2025年10月27日



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米国内に一時的に滞在し、個人的なサービス(労働)を提供した非居住外国人は、一般的に米国で事業を行っている(ETB: Effectively Connected Trade or Business)とみなされます。

米国内国歳入法(IRC)に基づき、これらの個人は、たとえ税金を支払う義務がない場合でも、Form 1040-NR(非居住外国人用所得税申告書)を使用して米国の所得税申告書を提出する義務があります。この申告書を提出しない場合、重大な罰則が科される可能性があり、また租税条約による優遇措置の権利を失う可能性もあります。

ただし所得がごくわずかで、米国での滞在期間が短い場合は、免除規定が設けられており、下記に適用条件を示します。

 

連邦税申告免除となる要件(内国歳入法(IRC)§864(b)(1))

非居住外国人は、課税年度中に以下の3つの条件をすべて満たす場合、米国連邦税の申告および課税が免除されることがあります:

  1. 当該個人の課税年度中の米国滞在日数が90日を超えないこと

  2. 米国において提供したサービス/業務の報酬額が3,000ドルを超えないこと

  3. 当該サービス/業務が以下のいずれかの対象に対して行われたこと: 

    • 米国における事業活動に従事していない外国の個人または法人

    • 米国法人の外国事務所

    • 米国政府機関の外国事務所

これら3つの条件をすべて満たされる場合、当該所得は米国源泉所得とはみなされず、IRC§864(b)(1)に基づき米国所得税が免除されます。またこの場合は、連邦税申告書Form 1040-NRの提出は不要です。

 

IRC §864(b)(1)の免除が適用されない場合

上記のいずれかの条件を満たさない場合(例えば、滞在期間が90日を超える、または総所得が3,000ドルを超える場合)は、米国の事業に実質的に関連する米国源泉所得(ECI: Effectively Connected Income)を得ているとみなされます。この場合

  • 税金が最終的に発生しない場合でも、Form 1040-NRを提出する必要があります。

  • 所得の金額や源泉徴収の有無にかかわらず、申告義務が生じます。

申告義務は、その人が「米国で事業を行っている非居住外国人」であるというステータスに基づいており、納税額の有無には関係ありません。


日米租税条約に基づく免税措置

内国歳入法(IRC)§864(b)(1)の免除要件を満たさないでも、日米租税条約に基づいて米国での課税を回避できる可能性があります。

 

条約第14条(従属的個人サービス)に基づき、以下の全ての条件を満たす場合、米国での雇用により得た所得は米国の所得税から免除されます:

  1. 個人がいかなる12か月間においても米国に183日を超えて滞在していないこと

  2. 雇用主が米国居住者でないこと

  3. 報酬が雇用主の米国恒久的施設によって支払われず、または負担されていいないこと

 

ただし、この日米租税条約上の優遇措置は自動的に適用されるものではなく、優遇措置を受けるにはForm 1040-NRを提出して正式に申告・開示する必要があります。これを怠ると罰則が科される可能性があり、また租税条約による保護が失われ、所得が通常の米国の課税対象となる恐れがあります。

免除を適切に請求するには、納税者はForm 1040-NR内のSchedule OI(その他の情報)に該当する条約の条項、米国滞在期間、雇用主に関する詳細を明記し申告する必要があります。また通常の雇用所得免除については、Form8833(租税条約に基づく申告ポジション開示)の提出は必須ではありませんが、IRSの誤認を避けるため、Form8833を提出して租税条約上の利益を主張・立証することも可能です。

 

納税者が米国に183日を超えて滞在する場合には、米国税額の計算を行い、納税申告する義務があります。

 

実質滞在テスト

米国での滞在期間が長期化すると、実質的滞在テスト(SPT:Substantial Presence Test)に該当し、税務上の居住外国人とみなされる可能性があります。この場合、全世界所得が米国課税の対象となります。

次の両方に該当する場合、税務上の米国居住者とみなされます:

  • 当該年度中に31日以上米国に物理的に滞在したこと

  • 以下の合計が183日以上であること:

o   当該年度中の米国滞在全日数

o   前年度の米国滞在日数の3分の1

o   その前年度の米国滞在日数の6分の1

 

このSPT基準を満たさない場合は引き続き非居住外国人(NRA:Nonresident Alien)とみなされ、米国源泉所得のみに課税されます。

なお、滞在日数については租税条約上の免除措置を適用するか、あるいはタイブレイカールールを使用して、米国税務上の非居住外国人(NRA)を扱いすることが可能です。

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